日本浪曼派の時代 (保田与重郎文庫) epubダウンロード無料

日本浪曼派の時代 (保田与重郎文庫)

によって 保田 与重郎

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日本浪曼派の時代 (保田与重郎文庫)の詳細

本のタイトル : 日本浪曼派の時代 (保田与重郎文庫)
作者 : 保田 与重郎
ISBN-10 : 4786800406
発売日 : 1999/4/1
カテゴリ : 本
以下は 日本浪曼派の時代 (保田与重郎文庫) の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
本作が、いかなるジャンルに属する文章であるのかは判定が難しい。ある近代文学者が評したように、本作でも、保田の文章は、あたかも巫女の御託宣のごとく、ただダラダラと、訥訥と、脈絡なく語り続けられるのである。本作に、日本浪曼派なる文学エコールの青春群像劇を期待しても無駄である。本作で明瞭になるのは、日本浪曼派の中心人物と目された保田にとって、それはあくまでも、詩誌コギトの延長であって、コギトの後に集った、例えば亀井勝一郎、檀一雄、芳賀檀といった人々は、どこまでも、他者であるということである。次に、近代の超克という、日本近代哲学における、 確かな一つの企ての中心に、あたかも保田が位置したと言う錯誤もまた、本書によって見事に打ち破られる。なぜなら、保田は、東洋五千年に比して、西洋三百年の歴史を、全くと言っていいほど認めていない。すなわち、彼にとって、西洋近代とは、そもそも笑止であり、不存在なのである。超克の対象足り得るはずがない。その観点から、西洋哲学と東洋哲学の融合を目指した西田哲学は、一顧だにされていない。このように、本書は、日本近代文学史におけるいくつかの俗説を、覆すものであり、その史料的価値はまことに高いと言わなければならない。 しかし、それにも増して、私が今この本を読んで思うのは、保田ここにあらば、四季派のおセンチな人間主義に軽侮の念を隠さない彼が、震災、原発事故以降跋扈する、自らも開発や科学の無批判な信奉者であったことを忘れたかのような進歩主義者達のおざなりの、取ってつけたようなヒューマニズムの氾濫に対して、いかなる心の呟きを発するかという問いである。しかし、この不可思議な、けれど珠玉の保田輿重郎のTwitterは、もはや再び、呟かれることはないのである。 無論、本論における保田の論旨の矛盾を指摘することはたやすい。例えば、西洋近代を否定する保田が、日本浪曼派の精神として挙げるのは、ドイツロマン派のイロニイのコンセプトなのである。 だが、このような点を個々にあげつらうのは、本書の読み方としては、最も意味の無いもののように思える。 ただ、保田の大上段の欧化否定、反近代の仕草に、同時代人で、否応無くヨーロッパに深々とコミットして行った森有正などと比する時、その苦悩の無さを感ずるのは確かである。

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