発想力: 「0から1」を生み出す15の方法 (小学館新書)

発想力: 「0から1」を生み出す15の方法 (小学館新書)の詳細

大前氏の良さは読みやすいところ。戦略本にせよスキル本にせよ、カチカチに堅苦しい表現をされると、読む気が失せる。優秀なコンサルタントは、新たな原理を探りつつも、皆が分かる言葉で伝える力があるのだと思う。本書は、前向きなビジネスパーソンへの応援歌だ。・戦略的自由度とは、マーケットインで考えること。プロダクトアウト発想が「この技術を何かに活かしたい」「既存の方法論のどこを直せばよいか」であるのに対して、「顧客は何を欲しているか」と考える。当たり前と言えば当たり前。だが、日本企業（特に大手メーカー）は依然としてこれができていない。たしかにそうだ。技術者はモノにはこだわりを持つが、コトが全く分からない世間知らずが多い。ま、技術を横展開して新たな価値が生まれることもあるけどな。・アービトラージとは「情報格差を利用した儲け」の意味。まあ、情報に貪欲であれということ。インターネット時代であっても、まだまだ日本人が知らない情報はたくさんあると。固定観念にとらわれない素直な心が大切（松下幸之助）だと。・非接触型ＩＣカードの技術は、ソニーのフェリカが基盤であるが、彼らには新結合の考え方がなかったので、多様なカードが混在した形になってしまっている。ＤｅＮＡのモバオクはケータイカメラで品物を撮影し、そのままオークションのプラットフォームに送る仕組み。新結合の成果である。・日本メーカーの失敗例のように、機能をプラスしてもユーザーが必要としなければ意味がない。むしろいい迷惑だ。・固定費に対する限界利益の最大化を図るには、つまりは無駄に遊ばせない（稼働率を高める）ためには、他社（他店）と連携して仕事の融通をしあえばよい。大阪のクリーニング屋の事例。・遊園地の遊具で、平日は４００円、週末は１０００円としてしまうのは、良くない事例。顧客に不平等感が残り、結局は一律１０００円か、４００円にしなければならない。この場合、価格を公にせず、他の人には分からせないようにすることが大事。まあ、ＢｔｏＢだと基本だがね。ＳＮＳを駆使することによって、個々の顧客別の対応が可能になるだろう。・プラットフォームを構想するにあたっては、「５年後にどうなっているのか」を考える。たとえば、５年後のリビングルームはどうなっているか、５年後の研修はどうなっているか。大企業は過去の成功体験にひきずられやすい。ソニーでもそう。・グーグルの企業買収を追っていくと、未来が先読みできる。同様に、デロイトテクノロジーＦａｓｔを見れば、先読み可能な企業が分かる。孫正義の経営は、本人曰く時間差攻撃。アメリカの兆しをキャッチして日本に持ち込み、アジアに展開していくというベタなパターン。・遊休資産を有効活用する考え方。ウーバーやエアビーが典型例。・中間地点に新たな価値が埋まっているかもしれない。たとえば、東京駅と新横浜駅の中間にあった品川駅。・ホッケースティック型の事業計画。明日は今日よりよくなるだろうという期待の入り混じった考え方。論理的な説明ではなく、単なる願望。だが、その数字が独り歩きして、生産、在庫、人員などがすべて強気になっていく。・少子化が進む中でペット関連のビジネス拡大か。あんまりヒネリがないな。・構想力とは、イマジネーションやインスピレーションによって、見えないものを描く力。０から１を生み出す力だ。ディズニーランドの本拠地、オークランドは、湿地帯にワニが生息し、誰も手を出さない土地だった。しかし、そこにディズニーは絵を描いた。